気持ちを贈る
12月はお歳暮、クリスマスなどが行われ、いろいろな人にさまざまな贈り物をします。贈り物をするときに大切なのは何でしょうか?贈るものやその価値も大切なのですが、一番大事なのは、相手を思いやったり、感謝したりする「気持ち」です。「気持ち」をシェアすることで家族や友人とつながり、そこに嬉しさや喜びや感動があるのです。
日本に、・ヘンリーの「賢者の贈り物」に似たお話があります。日本版では、貧しい侍の夫が、苦しい生活にもかかわらず一度も不平を言わない献身的な妻に感謝の気持ちを伝えたいと考えます。彼は、妻の美しい髪に飾る、かんざしを贈ろうと決めます。しかし、お金がないため、彼は侍の誇りを象徴する大切な刀を売って、かんざしを買うことにしました。
一方、妻もまた夫に感謝の気持ちを表したいと思い、夫の刀を装飾する飾りを買うことを決めます。そういった飾りは、夫をもっと素晴らしい侍に見せます。しかし、彼女もお金がありません。そこで彼女は自分の美しい髪を売ってその飾りを買うことにします。
その晩、贈り物を渡そうと家に帰ると、二人はお互いに驚き、少し残念に思いました。夫は飾りを付ける刀を持っていなく、妻はかんざしをつける長い髪がありません。それでも二人はお互いの思いやりに感動し、喜びました。彼らは互いに本当に「優しさや愛や感謝」を受け取ったのです。・ヘンリーの「賢者の贈り物」では、夫が妻に美しい髪のために櫛を買い、妻は夫に金時計用の鎖を買います。日本の話でもアメリカの話でも、同じメッセージが込められています。それは、贈り物で最も大事なのは気持ちをシェアすることだ、ということです。
浄土真宗では、私たちは、「阿弥陀さまから本願をいただいている」と、言います。阿弥陀さまが「すべての生きとし生けるものをお浄土に生まれさせ、仏にさせる」という願いを成就され、その本願の精神や功徳を南無阿弥陀仏として私たちにシェアしてくださっているのです。
蓮如上人は次のように述べられています。
「、、、名号はわたしたちが阿弥陀仏からいただいたものである。だから、わたしたちは、ただ仰せのままに浄土に往生させてくださいと弥陀を信じておまかせすれば、ただちにお救いいただくのであり、そのことをありがたいことだ、ありがたいことだと喜んで、念仏するばかりであると、蓮如上人は仰せになりました。」(蓮如上人『御一代記聞書』33、現代語訳)
阿弥陀仏の願いは、すべての生きとし生けるものが、安らかで穏やかな心を持って生きていくことです。私たちは阿弥陀仏の誓願、言うなれば「安らかであってほしい」という気持ちをいただいているのです。その気持ちをいただき、「南無阿弥陀仏」と感謝の念仏をとなえるのが浄土真宗の念仏者だ、とお示しくださっています
また、阿弥陀さまの願いや気持ちを受け取ると、他の人々と仏さまの教えや願いをシェアし、「共に安穏に生きていこう」という気持ちがでてくるようにもなっています。お歳暮やクリスマスなどで、周りの人々に温かさ、感謝、そしてつながりを広げていきましょう。
南無阿弥陀仏