南無阿弥陀仏という名前

古本竜太

近年、日本の子供たちの名前の読み方が難しすぎて先生がこまっていると聞きます。 今は昔と違って個性を尊重する風潮があるので、珍しい名前を持つ子供が少なからずいるそうです。その名前には今まで日本にはなかったような西洋風のものや、言葉の音に漢字を当て字したものなど、謎解きのような名前もあって、読むのが難しいのです。たとえば、あるウェブサイトによると、

光宙(ぴかちゅう)、姫星・希星(きてぃ)男(あだむ)、七音(どれみ)、緑輝(さふぁいあ)、火星(まあず)、姫凜(ぷりん)、皇帝(しいざあ)、礼(ぺこ)

などがその例で、このような名前はその音や壮大な意味などから「キラキラネーム」と呼ばれているそうです。昔はひろし、たかし、よしこ、ゆうこなどがポピュラーな名前でしたが、ゆう子や幸子など、最後に子つくのは、昭和風で年配の方のようなので、シワシワネームというらしいです。ちょっと失礼な感じですね。

最近の子供たちの名前は変わっているな、と驚かされますが、浄土真宗の阿弥陀仏の名前もだいぶ変わっています。真宗では阿弥陀仏の名前は、「南無阿弥陀仏」で意味は「阿弥陀仏に帰命します」または「帰命しなさい」です。南無は「帰命します」や「帰命しなさい」との動詞ですが、動詞が名前に含まれているのは最近の名前でもなかなかなく、意味をみてもかなりの個性のある名前です。

親鸞聖人は、南無阿弥陀仏という名前には人々を帰命させ、救うことができるだけの力と功徳がこめられていると考えておられ,「帰命とは本願召喚の勅命(教行信証、行巻)」と言われます。

「帰命」とは、衆生を招き喚び続けておられる阿弥陀仏の本願の仰せです。(現代語訳)

阿弥陀さまの「帰命しなさい」「まかせなさい」との呼びかけにこたえたのが、私たちがとなえる「南無阿弥陀仏」です。この呼びかけと功徳のおかげで、私たちが念仏をとなえることができ、浄土への往生が決まるのです。

阿弥陀とは無量の光という意味がありますので、ある意味キラキラネームですし、昭和どころか、はるか昔からある名前なので、シワシワネームだともいえるかもしれません。いずれにせよ、いつの時代でも名実ともなったすばらしい名前として皆から尊敬をもって称えられるのが「南無阿弥陀仏」だと味あわれることであります。

南無阿弥陀仏