花まつり、お釈迦さまが伝えたかったこと

 

今年の花まつりは4月2日(日)です。そして翌週の4月9日(日)は、西別院で仏連(ロサンゼルス仏教連盟)の花まつりが営まれます。

「花まつり」とは、仏教の開祖である釈迦牟尼仏(お釈迦さま)の誕生をお祝いする法要です。お釈迦さまは約2,500年前、現在のインドにお生まれになりました。大乗仏教では、お釈迦さまの誕生日は旧暦の4月8日だとされていて、日本では西暦の4月8日に祝われます。

「釈迦牟尼(しゃかむに)」とは釈迦族の聖者という意味で、「仏 」は宇宙の真理に目覚めた者という意味です。お釈迦さまは、釈迦族の王子としてお生まれになり、ゴータマ・シッダールタと名付けられました。ゴータマとは「優れた牛」を意味する姓で、シッダールタは 「目的を達成する者」を意味します。父はシュッドーダナ王、母はマヤ夫人です。釈迦族の国はカピラヴァストゥといい、現在のインド北部とネパールの国境付近に位置していました。マヤ夫人が出産のために故郷に帰ろうとしていたところ、その帰路の途中でお釈迦さまを出産されたと言われています。その場所が現在のネパールにあるルンビニです。

お釈迦さまが生まれた時に、ルンビニには花がたくさん咲いていたので、お釈迦さまの誕生日を「花まつり」と呼び、お釈迦さまの誕生仏を花で飾るようになったとされています。その誕生仏の像は、お釈迦さまが生まれたとき、七歩歩いて空と地を指し、「天上天下唯我独尊」と言われたという伝説に由来しています。この七歩は、六つの迷いの世界や心の状態(天、人、阿修羅、畜生、餓鬼、地獄)から解脱し、悟りを開いたことを象徴しています。そして神々はお釈迦さまの誕生を祝い、甘い雨を降らせたということから、お釈迦さまの誕生仏の像に甘茶をかけるようになりました。

白い象の像を置くのは、マヤ夫人が妊娠されたとき、白い象が体内に入ってくる夢を見たとされていることからです。アジアでは、白象は吉祥の象徴とされ、お釈迦さまの誕生が特別で素晴らしいことを表しています。

このように、花まつりでは2500年前にお釈迦さまが誕生された時のことをいろいろなお飾りを使って再現し、その偉大な功績を称えます。浄土真宗の念仏者は、お釈迦さまがこの世に現れ出てくださったおかげで、私たちが阿弥陀仏の救いを知ることができ、お釈迦さまと同じように悟りを得ることができるということに感謝し、お釈迦さまの誕生をお祝いするのです。

親鸞聖人は、お釈迦さまがこの世に現れた理由は、阿弥陀仏の救いを伝えるためだと言われています。「正信偈」に

「如来所以興出世、唯説弥陀本願海 (如来が世に出られるのは、 ただ阿弥陀仏の本願一乗海の教えを説くためである。)」と書かれています。ここの「如来」とはお釈迦さまのことです。

親鸞聖人は何千とある経典の中で「大無量寿経(大経)」が最も重要な経典であるといただいておられました。「大経」では、お釈迦さまが阿弥陀仏や阿弥陀仏の本願を説かれています。阿弥陀仏の本願には、阿弥陀仏におまかせして(信心)、念仏をとなえる者は、浄土に生まれると誓われています。この方法は、涅槃に至る最も簡単な方法であり、年齢、性別、人種、社会的地位、などの違いに関係なく、誰でもできるのです。すべての人が平等に涅槃に至る道を探し求めておられた親鸞聖人は、信心のお念仏の道こそ、お釈迦さまが人々に伝えたかった真実の教えに違いないと考えられたのです。お釈迦さまが伝えてくださった阿弥陀さまのご本願におまかせして、花まつりをおつとめしましょう。

南無阿弥陀仏